【取適法(旧下請法)】「修理委託」の2類型と具体例!点検や建設工事との違いを分かりやすく解説

【取適法(旧下請法)】「修理委託」の2類型と具体例!点検や建設工事との違いを分かりやすく解説

【要点まとめ】

■修理委託とは: 「元来の機能を失った物品を、元の機能に回復させる」ための委託行為を指します。
■2つの類型: 顧客から請け負った修理を「外注」する場合と、自社で使う設備の修理を「メーカー等に依頼」する場合の2パターンがあります。
■要注意な落とし穴①: その修理行為が「建設工事」に該当する場合は、取適法ではなく「建設業法」が適用されます。
■要注意な落とし穴②: 壊れていない機械の「校正・調整・点検」は修理委託にはならず、「役務提供委託」という別の扱いになります。

(1)今回のテーマは「修理委託」

こんにちは。10月1日に神奈川県にて行政書士事務所の開業を予定しております、行政書士の藤原素雄です。
今回は、取適法(中小受託取引適正化法/旧下請法)の対象となる5つの取引内容のうち、建設業者様・加工業者様・自動車修理業者様において該当することの多い「修理委託」について詳しく解説いたします。
(※本記事の具体例はすべて、「発注側の資本金が1000万円超」かつ「受注側(委託先)の資本金が1000万円以下」の取引を前提としています)
【過去の取適法シリーズはこちら】
•[リンク:取適法(旧下請法)は建設業者にも適用される!2026年からの法改正と厳格化への対応]
•[リンク:取適法(旧下請法)で必ず守るべき4つのルール!建設・加工業者向けの実務対策]
•[リンク:取適法(旧下請法)の対象・対象外を見極める4つのクイズ!その発注は大丈夫?]
•[リンク:取適法(旧下請法)資本金1000万超の建設・加工業は要注意!一番多い「製造委託」の4類型と具体例を行政書士が解説]

(2)そもそも「修理」の定義とは?

取適法において「修理委託」とは、大きく分けて以下の2つのケースが定義されています。

①事業者が業として請け負う物品の修理の行為の全部又は一部を他の事業者に委託すること
②事業者がその使用する物品の修理を業として行う場合にその修理の行為の一部を他の事業者に委託すること

(根拠) 取適法(製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律)2条の2項

ここで重要なのが、法律上の「修理」の定義です。 取適法での修理とは、「元来の機能を失った物品に一定の工作を加え、元来の機能を回復させること」を指します。つまり、「壊れたものを直す」行為であることが大前提となります。

(3)【具体例で解説】修理委託の「2つの類型」

では、実際の現場で起こり得る「修理委託」の2つのパターン(類型)を具体例とともに見ていきましょう。

【類型1】顧客から請け負った修理を、さらに他社へ「外注」するケース
(具体例1:建設業) 発注者の工場に設置されている「製造装置」の修理を請け負い、その修理作業を他の事業者に委託する。(※ただし、その修理が建設業法上の建設工事にならない場合のみ)
(具体例2:加工業) 板金製作品の修理を顧客から請け負い、その修理の一部を他の事業者に委託する。
(具体例3:自動車修理業) 顧客から自動車の修理を請け負い、その修理を他の自動車整備業者に委託する。

【類型2】自社で使用する設備(通常は自社で修理するもの)を、他社へ「依頼」するケース
(具体例1:建設業) 自社の工作場に設置している「ボール盤」が破損した。通常は自社で直すが、現場作業が詰まっていたため、他の事業者に修理を委託した。
(具体例2:加工業) 自社で所有する「シャーリング(切断機)」が破損した。通常は自社で修理を行うが、今回はメーカーに修理を委託した。
(具体例3:自動車修理業) 自社で所有する「タイヤチェンジャー(タイヤ交換機)」が破損した。通常は自社で修理をするが、今回は製作メーカーに修理を委託した。

(4)要注意!「修理」に該当しない2つの落とし穴

実務において最も間違いやすいのが、「修理っぽく見えて、実は修理委託の対象外となるケース」です。以下の2点には特にご注意ください。

① その修理が「建設工事」に該当する場合
工場設備の修理であっても、その作業内容が建設業法上の「建設工事」に該当する場合は、取適法(修理委託)の対象外となります。この場合は、建設業法に則った下請契約の締結等が必要となります。どの法律が適用されるかの見極めが非常に重要です。

② 「校正・調整・点検」の場合
先ほど解説した通り、修理とは「元来の機能を失った物品を回復させる(壊れたものを直す)」ことです。したがって、壊れていない機器の定期的な校正、精度の調整、保守点検などは「修理」には該当しません。 これらを外注する場合は「修理委託」ではなく、別の取引内容である「役務提供委託」という扱いになります。 (※「役務提供委託」については、後日のブログで詳しく解説いたします!)

(5)2026年施行の法改正で「取締り」が厳格化!

2026年1月1日に施行された改正法では、法違反に対する取締りが一段と厳しくなっています。 (※その他、社員数による適用や特定運送等、一部の企業様が対象となる規定も追加されています)
「これは取適法の対象になるのか?」「建設業法が適用されるのか?」といった発注時の法的見極めは、企業のコンプライアンスにおいて極めて重要ですが、現場の皆様がすべてを判断するのは大変な労力がかかります。
当事務所では、現場経験の長い行政書士が、皆様の適正な発注ルール作りやコンプライアンス体制の構築をサポートしたく存じます。来月の開業後になりますが、発注に関するご不安等がありましたら、ぜひお気軽にご相談ください

この記事を書いた人 Wrote this article

藤原 素雄

藤原 素雄

建設業・サービス業界にて20年以上、現場監督や設備購買、コンプライアンス推進の実務を経験。購買部員として数千件に及ぶ発注実務をこなし、下請取引と法令遵守の専門家です。 ISO(9001/14001/IATF16949等)推進員や内部監査員の知見も有しており、取適法(旧下請法)や建設業法に準拠した契約書・発注書面の作成から、社内規定の構築までサポートします。建築物石綿含有建材調査者や特管産廃管理責任者など現場資格も多数保有。長年の実務経験を活かし、発注側・受注側双方が安心して取引できる環境づくりと、より良い社会の実現に貢献いたします。