【取適法(旧下請法)】「役務提供委託」で間違えやすい2つの落とし穴!建設工事との違いと資本金基準を行政書士が解説

【取適法(旧下請法)】「役務提供委託」で間違えやすい2つの落とし穴!建設工事との違いと資本金基準を行政書士が解説

【要点まとめ】

■役務提供委託とは:「労働やサービス」の提供を事業としている企業が、その業務を他社へ外注する取引のことです。
■落とし穴①(適用除外): その委託が「建設工事」に該当する場合は、取適法ではなく「建設業法」が適用されます。この見極めが最大の難関です。
■落とし穴②(資本金区分): 「運送・倉庫業務」か「それ以外のサービス業務」かによって、対象となる資本金・従業員数の基準額が異なります。

(1)「役務提供委託」とは?

こんにちは。10月1日に神奈川県にて行政書士事務所の開業を予定しております、行政書士の藤原素雄です。
今回は、取適法(中小受託取引適正化法/旧下請法)の対象となる5つの取引内容のうち、建設業者様・製作業者様・運送業者様などで該当することの多い「役務提供委託」について詳しく解説いたします。
取適法における「役務提供委託」とは、簡単に言うと以下の取引を指します。

「役務(労働やサービス)の提供を事業活動としている事業者(委託事業者)が、その提供の行為の全部又は一部を他の事業者(中小受託事業者)に委託する取引」
(根拠:取適法 第2条の4項)

つまり、自社のビジネスとして顧客に提供しているサービス(作業)を、他の事業者に外注するケースが該当します。

(2)【要注意】建設工事は「適用外」になる

この役務提供委託において、建設業者様が最も注意すべき規定があります。それは「建設工事は適用外となる」というルールです。
その委託内容が「建設工事」に該当する場合は、取適法ではなく「建設業法」が適用されます。一方、建設工事に該当しない「単なる作業等」であれば、取適法の「役務提供委託」に該当します。
私は建設業に23年携わってきましたが、この「建設工事の該非判定(工事か、作業か)」が実務上もっとも難関です。ここを誤ると、適用される法令が根本から異なり、発注形態、保管すべき書面の内容、さらには指導が入る監督官庁までもが変わってしまいます。
※建設工事の該非判定については、過去のブログ記事もご参照ください。 [リンク:建設工事の該非判定とは?建設業法が適用される対象工事の見極め方]

(3)注意!業種で異なる「資本金・従業員数」の区分

役務提供委託が複雑なもう一つの理由は、委託するサービスの内容によって「対象となる事業者の規模(資本金等)」の基準が2種類に分かれている点です。
①「運送、物品の倉庫における保管」を委託する場合

運送業や倉庫業に関する委託は、以下の規模の取引が対象となります。※この区分は製造委託、修理委託と同様です。

②「上記以外」の役務提供を委託する場合

運送・物品の倉庫における保管以外の委託はこちらの基準になります。

(4)【具体例で解説】対象になるケース・ならないケース

実際の現場で起こり得る具体例で、対象となるかどうかの判断基準を見ていきましょう。

✅ 取適法(役務提供委託)に「該当する」具体例
•(例1) 建設業者が、工場に設置された製造装置単体の改造作業(※当該作業が建設工事に該当しない場合)を下請の建設業者に委託する。
•(例2) 元請の建設業者が、建設工事に伴う現場での交通整理の業務を警備業者に委託する。
•(例3) 運送業者が、自社の運送業務を他の運送業者に委託する。

❌ 取適法(役務提供委託)に「該当しない」具体例
•(例1)建設業者が、事務所の清掃作業を清掃業者に委託する
理由: 建設業者は「清掃作業」を業として顧客に提供しているわけではないため。
•(例2)装置製作業者が、コンプライアンスのコンサルタント業務を行政書士に委託する

理由:装置製作業者が自社で活用する役務であり、顧客に業として提供する役務ではないため

(5)まとめ

取適法の「役務提供委託」を正しく判断するには、「資本金や従業員数による区分の違い」と「建設業法が適用される取引(建設工事)の除外」という2つのハードルをクリアする必要があります。
「この作業は工事になるのか?」「どの法律の対象になるのか?」といったコンプライアンス上の判断に迷われるケースは多いと思います。

こうした複雑な法令の落とし穴を防ぎ、適正な取引を行うために最も大切なのは、正しい法令の知識を持つことです。
本業が忙しい各社様は専門家に依頼するのが一番確実だと思います。

本日10月1日、無事に事務所の開業を迎えました。建設業に長年携わってきた私の経験と専門的知見を活かし、皆様が迷われる複雑な法的判断や取引フローの整備を全力でサポートいたします。

・「自社が外注している作業が、役務提供委託と建設業法のどちらに該当するのか整理したい」
・「資本金区分や業務内容に応じた適正な契約書面・発注フローを構築したい」
・「協力会社と良好な関係を保ちながら、安心して本業に専念できる体制を作りたい」

このようなご不安や疑問がある企業様は、どうぞお気軽にご相談ください。

お問い合わせ自体はもちろん、その後の『初回のご相談』も【無料】で承っております。
まずは以下のホームページより、些細なことでもお気軽にお問い合わせください。

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[行政書士藤原素雄事務所のホームページ]

この記事を書いた人 Wrote this article

藤原 素雄

藤原 素雄

建設業・サービス業界にて20年以上、現場監督や設備購買、コンプライアンス推進の実務を経験。購買部員として数千件に及ぶ発注実務をこなし、下請取引と法令遵守の専門家です。 ISO(9001/14001/IATF16949等)推進員や内部監査員の知見も有しており、取適法(旧下請法)や建設業法に準拠した契約書・発注書面の作成から、社内規定の構築までサポートします。建築物石綿含有建材調査者や特管産廃管理責任者など現場資格も多数保有。長年の実務経験を活かし、発注側・受注側双方が安心して取引できる環境づくりと、より良い社会の実現に貢献いたします。