【取適法(旧下請法)】下請けからの値上げ要請を無視すると違法?「協議に応じない一方的な代金決定の禁止」を行政書士が解説

【取適法(旧下請法)】下請けからの値上げ要請を無視すると違法?「協議に応じない一方的な代金決定の禁止」を行政書士が解説

【要点まとめ】

■今回のテーマ:取適法の禁止行為「協議に応じない一方的な代金決定の禁止」について。

■よくある違反リスク:受注側からの「原材料や労務費の高騰による値上げ協議」を無視したり、理由なく据え置いたりする行為は違法となる恐れがあります。

■具体例:協議の先延ばし、過度な原価資料の要求、根拠のない従来価格の提示など。

■実務対策:発注側は「労務費・エネルギー費・諸経費」などの適正な積算を行い、お互いが納得できる価格協議を行うことが不可欠です。

1.「協議に応じない一方的な代金決定」とは?

こんにちは。神奈川県で行政書士を行っております藤原素雄と申します。
私は以前、特定建設業者の購買部員として6年間、約1万件に及ぶ発注実務を行ってまいりました。
その経験を活かし、建設業者様、加工業者様、設計製作業者様、運送業者様などの「設備・ものづくり」に携わる企業様へ向けたコンプライアンス情報をお届けしております。
資本金1,000万円を超える企業様の多くは、取適法(中小受託取引適正化法・旧下請法)における「委託事業者(発注側)」に該当します。
(資本金区分以外に従業員数による区分もあり)

この法律で定められた禁止行為を行うと、勧告等の対象となり社名が公表されるリスクがあります。

今回解説するテーマは、「協議に応じない一方的な代金決定の禁止」です。
昨今、原材料の高騰や労務費の上昇により、中小受託事業者(受注側)から価格見直しの協議を求められるケースが増えていると思います。
この求めに対して、発注側が十分な協議に応じず、一方的に発注価格を決定・据え置く行為は禁止されています。

2.【要注意】一方的な代金決定に該当する4つのNGパターン

「うちは一方的な決定はしていない」と思っていても、対応方法によっては法律違反とみなされる場合があります。
中小受託取引適正化法のテキスト等で規定されている具体的なNG事例は以下の通りです。

① 協議の拒否・無視・先延ばし
代金引上げの協議を求められたにもかかわらず、拒否・無視をしたり、回答を不当に引き延ばしたりすること。

② 過度な資料要求を協議の条件にする
引上げ要請に対し、合理的な範囲を超えた詳細な原価情報の提示を求め、それを出さないと協議に応じないとする姿勢。

③ 根拠を示さず「従来通りの価格」を押し付ける
受注側が合理的な理由を示して値上げを求めたのに、発注側が具体的な理由や根拠資料を示さずに拒否し、従来通りの価格(または希望額を下回る額)を提示すること。

④ 値下げ要求時、理由や根拠を説明しない
逆に発注側から代金の引下げを要請した際、受注側から説明を求められたにもかかわらず、具体的な理由や根拠を示さずに値下げ額を提示すること。

3.「価格上昇分を上回る賃上げ」を実現するために

現在、「価格上昇分を上回る賃上げ」は日本社会全体の重要な課題となっています。
この課題をクリアし、サプライチェーン全体で成長していくためには、今回の禁止事項を正しく理解することが極めて重要です。
発注側は、委託内容の内訳(原材料費、労務費、エネルギー費、諸経費など)をしっかりと積算し、発注価格の適正さを確認する必要があります。
そして何より、受注側と十分に協議を行い、双方が納得できる価格を決定する姿勢が求められます。

【ご相談ください】
購買・発注部門のご担当者様や経営者様で、「自社の価格協議のフローが法律に沿っているか不安」「下請業者との適切な契約書面を整備したい」とお悩みの方は、どうぞお気軽に当事務所までご相談ください。
購買実務経験と行政書士としての専門知識を掛け合わせ、実務に即した無理のないコンプライアンス体制づくりをサポートいたします。
些細なことでもお気軽にお問い合わせください。
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この記事を書いた人 Wrote this article

藤原 素雄

藤原 素雄

建設業・サービス業界にて20年以上、現場監督や設備購買、コンプライアンス推進の実務を経験。購買部員として数千件に及ぶ発注実務をこなし、下請取引と法令遵守の専門家です。 ISO(9001/14001/IATF16949等)推進員や内部監査員の知見も有しており、取適法(旧下請法)や建設業法に準拠した契約書・発注書面の作成から、社内規定の構築までサポートします。建築物石綿含有建材調査者や特管産廃管理責任者など現場資格も多数保有。長年の実務経験を活かし、発注側・受注側双方が安心して取引できる環境づくりと、より良い社会の実現に貢献いたします。