- 中小受託取引適正化法
- 2026年9月25日
【取適法(旧下請法)】「受領拒否」は11の禁止事項の筆頭!具体例とよくある「悪質な言い訳」を行政書士が解説
【要点まとめ】 ■受領拒否とは: 受注側(下請け)……

【要点まとめ】
■委託案件が「取適法の対象となるか」の見極めを誤ると、発注書面の未交付や支払遅延など深刻な法務リスクを抱える事態になります。
■対象となる取引を「対象外」と誤認すると、法令で定められた「取引に関する記録の2年間の保管義務」等を違反する恐れがあります。
■自社の事業として行っている工事の一部(警備など)や、施工に使う部品(配管ブラケットなど)の外部委託は「取適法の対象」となります。
■自社で使用するだけの備品(ロゴ入りヘルメットなど)の製作依頼や、自社の事務所の清掃など、自社の「業(事業)」として請け負っていないものは「対象外」です。
こんにちは。10/1に神奈川県で行政書士の事務所開設を予定しています藤原素雄です。
今回は、委託案件が「取適法(中小受託取引適正化法 / 旧下請法)の対象となる取引なのか、そうでないのか」を見極める一部のポイントを解説いたします。
このテーマは、発注担当者様にとって非常に重要です。なぜなら、この見極めを誤ると、以下のような深刻な法務リスクを抱える事態になりかねないからです。
①本来は「取適法の対象」なのに「対象外」と判断してしまった場合のリスク
・規定された発注書面による発注がされない
・支払い期日が守れない
・取適法の「取引に関する記録の2年間の保管義務」がされない
②本来は「建設業法の対象」なのに、「取適法の対象」と判断してしまった場合のリスク
・建設業法で規定されている帳簿への記載がされない
・支払い期日が守れない
・毎年行う決算報告より漏れる(発注金額等によります)
そこで今回は、取適法の対象であるか否かについて、4つのクイズを出させていただきます。
(※前提として、発注元である建設業者の資本金は1,000万円とします) 現職の購買担当者でも難しいと感じると思います。
【Q1】建設業者が工事現場に警備員さんを配置するために警備会社(資本金:500万円)へ発注した。
【答え】 取適法の対象(役務提供委託)に該当します。
【解説】 建設業者が業(事業者が反復継続的に行っており、事業の遂行とみなせる行為)として行う建設工事の一部である「警備」を外部に委託するためです。(※建設業者が建設工事を業として行っていない場合は対象外となります。)
【Q2】建設業者が事務所の清掃を清掃業者(資本金:500万円)へ発注した。
【答え】 取適法の対象外です。
【解説】 発注元である建設業者は、自社の事業として「清掃」を請け負っているわけではないためです。
【Q3】建設業者が、現場に敷設する配管ブラケットを加工業者(資本金:500万円)に図面を提供して製作の発注をした。
【答え】 取適法の対象(製造委託 類型1)に該当します。
【解説】 寸法等を指定した委託は「製造委託」に該当し、業として行う工事で設置(販売)する部品を外部へ委託したためです。
【Q4】建設業者が、自社の会社名が刻印されたヘルメットをヘルメット製作メーカー(資本金:500万円)へ発注した。
【答え】 取適法の対象外です。
【解説】 物品等のデザイン等を指定して製造を委託する場合は製造委託に該当しますが、当該取引は製造委託の累計1~4のいずれにも該当しません。(建設業者自身が、販売用などでヘルメット等を製造しているわけではないため)
いかがでしたでしょうか?
建設業法が適用される取引かどうかの判断も大変難しいですが、取適法の判断はそれ以上に複雑です。この判断ミスが法への抵触に直接つながりかねないため、各社様におかれましては厳重に注意していただきたく存じます。
建設業・サービス業界にて20年以上、現場監督や設備購買、コンプライアンス推進の実務を経験。購買部員として数千件に及ぶ発注実務をこなし、下請取引と法令遵守の専門家です。 ISO(9001/14001/IATF16949等)推進員や内部監査員の知見も有しており、取適法(旧下請法)や建設業法に準拠した契約書・発注書面の作成から、社内規定の構築までサポートします。建築物石綿含有建材調査者や特管産廃管理責任者など現場資格も多数保有。長年の実務経験を活かし、発注側・受注側双方が安心して取引できる環境づくりと、より良い社会の実現に貢献いたします。