- 中小受託取引適正化法
- 2026年10月9日
【取適法(旧下請法)】下請けからの値上げ要請を無視すると違法?「協議に応じない一方的な代金決定の禁止」を行政書士が解説
【要点まとめ】 ■今回のテーマ:取適法の禁止行為「……

【要点まとめ】
■受領拒否とは: 受注側(下請け)に責任がないにもかかわらず、発注側が注文した物品の受け取りを拒むことです。
■例外(受領拒否が許されるケース): 「指定した仕様と違う」「納期遅れにより不要になった」など、受注側に責任がある場合に限られます。
■実務の罠: 「置き場所がない」「発注元の仕様が変わった」などはすべて発注側の都合であり、受領拒否は違法となります。
■現場の実態: 「次回の取引で穴埋めするから」という口約束は守られないことが多く、中小受託事業者にとって致命的な損害となります。
こんにちは。10月1日に神奈川県にて事務所の開業を予定しております、行政書士の藤原素雄です。
前回の記事では、取適法(中小受託取引適正化法/旧下請法)に違反した場合のペナルティである「公表制度」について解説しました。 今回は、その公表の対象となる11の禁止事項の中から、実務で非常に起こりやすい「受領拒否」について解説いたします。
【前回の記事はこちら】
[リンク:【取適法(旧下請法)】違反すると社名公表のペナルティ!11の禁止事項と立入検査の流れを行政書士が解説]
取適法第5条1項1号において、「受領拒否」は以下のように規定されています。
中小受託事業者の責めに帰すべき理由がないのに、中小受託事業者の給付の受領を拒むこと
つまり、受注側(下請けの事業者)に何の責任もないにもかかわらず、発注側の都合で納入物の受け取りを拒否することは法律で固く禁じられています。
💡 「受注側に責任がある(受領拒否ができる)」ケースとは?
逆に以下のような受注側のミスであれば、受け取りを拒否することができます。
・納入された品が、発注書面で指定した仕様と異なる場合
・納入が発注書面で指定した納期より遅れ、すでにその品が不要となってしまった場合
では、どのようなケースが「違法な受領拒否」に該当するのでしょうか。建設業や製造業でよくある3つの具体例を見てみましょう。
•❌ ケース1:上位顧客の仕様変更(製造委託)
加工業者が指示通りに製作した加工品を納品したが、委託事業者(発注側)のさらに上の取引先が仕様変更を行ったため加工品が不要となり、受け取りを拒否した。
•❌ ケース2:自社都合の設計変更(情報成果物作成委託)
設計業者が設計図面を納品したが、委託事業者(発注側)の都合で設計変更をしたために図面が不要となり、受け取りを拒否した。
•❌ ケース3:保管場所の不足(製造委託)
鋼材業者が指示通りにカットした重量のあるSS400鋼材を納品したが、委託事業者(発注側)が現場や工場に鋼材を置く場所を確保できなかったため、受け取りを拒否した。
これらはすべて「発注側の都合(責任)」であり、明確な法律違反となります。
⚠️【専門知識】サービスや運送の委託はどうなる? 「役務提供委託(サービス)」や「特定運送委託」の場合、物理的なモノの納入がないため、法律上「受領拒否」という概念は適用されません。 しかし、発注側の一方的な都合でサービスを途中でキャンセルさせ、受注側が要した費用を支払わない場合は、「不当な給付内容の変更(取適法5条2項3号)」という別の禁止行為に該当し、同様に違法となります。
私は建設業の企業で、長年にわたり購買業務と社内外のコンプライアンス(CSR)推進業務に携わってまいりました。
サプライチェーン全体のコンプライアンスを推進する中で、取引先から様々な事例を聞いてきましたが、受領拒否が行われる最大の原因は、発注側の「これ位は大丈夫だろう」「うちが仕事をあげているんだから」という軽い認識にあります。
しかし、中小受託事業者にとって、完成したものの代金が支払われないことは死活問題となる重大な損害です。
現場で非常によく耳にするのが、「今回の損害分は、次回の取引で穴埋めするから」と丸め込まれたものの、結局約束が果たされなかったり、そもそも次回の取引自体がなかったりする悪質なケースです。
発注側の事業者様も本業が忙しく、遵守しなければならない多くの法令をすべて完璧に把握するのは困難なことかと思います。
本日10月1日、無事に事務所の開業を迎えました。
私の長年の購買・コンプライアンス実務経験を最大限に活かし、発注側・受注側双方が思いやりを持って安心して取引できるような支援を全力で行ってまいります。
・「うちの受入検査や検収のルールは、受領拒否のリスクがないだろうか?」
・「協力会社とトラブルにならない、適正な発注・検収フローを構築したい」
・「現場の担当者が無意識に法律違反をしないよう、社内体制を整えたい」
このような、自社の発注フローやコンプライアンス体制に少しでもご不安がある企業様は、どうぞお気軽にご相談ください。
問い合わせ及び初回のご相談は【無料】で承っております。
まずは以下のホームページより、些細なことでもお問い合わせをお待ちしております。
建設業・サービス業界にて20年以上、現場監督や設備購買、コンプライアンス推進の実務を経験。購買部員として数千件に及ぶ発注実務をこなし、下請取引と法令遵守の専門家です。 ISO(9001/14001/IATF16949等)推進員や内部監査員の知見も有しており、取適法(旧下請法)や建設業法に準拠した契約書・発注書面の作成から、社内規定の構築までサポートします。建築物石綿含有建材調査者や特管産廃管理責任者など現場資格も多数保有。長年の実務経験を活かし、発注側・受注側双方が安心して取引できる環境づくりと、より良い社会の実現に貢献いたします。