【取適法(旧下請法)】資本金1000万超の建設・加工業は要注意!一番多い「製造委託」の4類型と具体例を行政書士が解説

【取適法(旧下請法)】資本金1000万超の建設・加工業は要注意!一番多い「製造委託」の4類型と具体例を行政書士が解説

【要点まとめ】

■一番多い取引: 取適法の対象となる5つの取引のうち、建設業や製造業で最も頻繁に発生するのが「製造委託」です。
■対象となる条件: 規格品(カタログ品)の購入は対象外。「材質・寸法・形状などを指定して作らせる(加工を含む)」場合が該当します。
■4つの類型: 自社製品の部品作りから、自社で使う治具の製作、修理の委託まで、実は幅広い発注が対象になります。
■法改正のリスク: 2026年1月施行の改正により、法違反に対する取締りが厳格化しています。発注前の「見極め」がこれまで以上に重要です。

(1)建設業・加工業で最も多い「製造委託」とは?

こんにちは。10月1日に神奈川県にて開業を予定しております行政書士の藤原素雄です。
今回は、取適法(中小受託取引適正化法/旧下請法)の対象となる5つの取引内容のうち、建設業者様・加工業者様・製造業者様において最も該当することが多い「製造委託」について詳しく解説いたします。

この記事は、以前投稿したクイズ記事の「Q3」の補足解説となります。
[リンク:【取適法(旧下請法)の対象・対象外を見極める4つのクイズ!その発注は大丈夫?】]

※本記事の具体例はすべて、「発注側の資本金が1000万円超」かつ「受注側(委託先)の資本金が1000万円以下」である取引を前提としています。

(2)そもそも「製造委託」の定義とは?

取適法における「製造委託」とは、以下のように定義されています。

「事業者(委託事業者)が他の事業者(中小受託事業者)に対し、物品等の規格・品質・性能・形状・デザイン・ブランドなどを指定して製造(加工を含む。)を依頼することをいう」 (※中小受託取引適正化法テキストより抜粋)

ここで最も重要なポイントは、「サイズ等を指定して作らせているかどうか」です。 図面を渡して加工を依頼したり、材質や寸法を指定して作らせる行為は対象となりますが、ホームセンターやカタログで販売されている「市販の規格品」をそのまま購入する場合は、製造委託には該当しません。

(3)【具体例で解説】製造委託の「4つの類型」

製造委託には大きく分けて4つの類型(パターン)があります。法律の条文だけでは分かりにくいため、建設業・加工業の皆様が日々行っている「反復継続した事業活動」の具体例とセットで解説します。

【類型1・2】物品の販売・製造を請け負う事業者が、さらに他社へ委託するケース
最も典型的な下請け・外注のパターンです。

(具体例1) 建設業者が、工事で据え付ける「安全柵」を、材質・寸法・塗装色(マンセル記号)等を指定して加工業者に製造させる。
(具体例2) 加工業者が製品を製作するため、素材となる鉄板の板厚・カット寸法等を指定して鋼材業者に委託する。
(具体例3) 製造業者が販売する製品の材料について、材質・寸法等を指定して部品メーカーに製造を委託する。
(具体例4) 設計・製作事業者が、製品のカバー部分を材質・寸法・塗装色を指定して加工業者に委託する。

【類型3】物品の「修理」を請け負う事業者が、その部品などを他社へ委託するケース
自社で受けた修理案件の一部を、別の業者に依頼するパターンです。

(具体例1) 建設業者が請け負った製造装置の修理をするため、製造装置メーカーに修理を委託する。
(具体例2) 加工業者が、溶接個所が取れた製品の修理をするため、溶接業者に溶接作業を委託する。
(具体例3) 設計・製作業者が自社で納品した装置の修理依頼を受け、その修理に必要な一部の機械加工を加工業者に委託する。

【類型4】自社で使用する物品を、他社へ製造委託するケース
販売目的ではなく、自社工場等で使う道具の製作を外注するパターンです。

(具体例1) 加工業者が自社で使用する「治具」を、材質・寸法を指定して加工機メーカーに委託する。

(4)2026年施行の法改正で「取締り」が厳格化!実務家からのアドバイス

2026年1月1日に施行された改正法には複数の変更点がありますが、企業にとって最大のリスクは「法違反に対する取締りが一段と厳しくなったこと」です。 (※その他、社員数による適用や特定運送等、一部の企業様が対象となる規定も追加されています)

取適法に限ったことではありませんが、日々の業務の中で「自社の発注行為が法の対象になるのか」を正確に見極められなければ、適切な手続きを行うことは不可能です。 対象となる発注であれば、法定の要件を満たした発注書面の交付・保管義務、支払い条件の遵守、官公署に対する報告等が厳格に義務付けられます。
この「適用の見極め」は、建設業法、廃棄物処理法、フロン排出抑制法、大気汚染防止法、振動・騒音規制法など、あらゆる法令において共通する難題です。
企業の皆様には、ぜひ「本業」に全力を尽くしていただき、複雑で煩雑なコンプライアンス(法令遵守)の実務対応については、現場を知る行政書士事務所である当事務所をご活用いただければと存じます。来月の開業後になりますが、自社の発注ルールに不安がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。

この記事を書いた人 Wrote this article

藤原 素雄

藤原 素雄

建設業・サービス業界にて20年以上、現場監督や設備購買、コンプライアンス推進の実務を経験。購買部員として数千件に及ぶ発注実務をこなし、下請取引と法令遵守の専門家です。 ISO(9001/14001/IATF16949等)推進員や内部監査員の知見も有しており、取適法(旧下請法)や建設業法に準拠した契約書・発注書面の作成から、社内規定の構築までサポートします。建築物石綿含有建材調査者や特管産廃管理責任者など現場資格も多数保有。長年の実務経験を活かし、発注側・受注側双方が安心して取引できる環境づくりと、より良い社会の実現に貢献いたします。