【取適法(旧下請法)】「図面の外注」は見落とし注意!情報成果物作成委託の基準と具体例を行政書士が解説

【取適法(旧下請法)】「図面の外注」は見落とし注意!情報成果物作成委託の基準と具体例を行政書士が解説

【要点まとめ】

■盲点になりやすい委託: 施工図や設計図の作成を他社に外注する行為は、「情報成果物作成委託」として取適法の対象になります。
■情報成果物とは: プログラム(ソフト)、映像・音声、文字・図形(図面やデザイン)などのデータや作成物のことです。
■資本金の区分: 「プログラムの作成」か「それ以外の図面等」かによって、対象となる資本金基準が異なります。
■実務での罠: 「図面は情報成果物作成委託」「製作は製造委託」というように、一つの工事の中で複数の類型が混在することがあるため注意が必要です。

(1)その「図面の外注」、実は取適法の対象です!

こんにちは。10月1日に神奈川県にて行政書士事務所の開業を予定しております、行政書士の藤原素雄です。
今回は、取適法(中小受託取引適正化法/旧下請法)の対象となる5つの取引内容のうち、建設業者様や設計・製作業者様が最も「対象であると忘れがち」な取引である「情報成果物作成委託」について詳しく解説いたします。
例えば、建設業者が「工事の施工図」を他の事業者に委託したり、加工業者が「製作図面」を外注したりするケースはすべて対象となり、取適法に則った発注手続きが必要となります。

【当記事と関連する取適法シリーズはこちらをご覧ください】
• [リンク:取適法(旧下請法)は建設業者にも適用される!2026年からの法改正と厳格化への対応]
• [リンク:取適法(旧下請法)で必ず守るべき4つのルール!建設・加工業者向けの実務対策]
• [リンク:取適法(旧下請法)の対象・対象外を見極める4つのクイズ!その発注は大丈夫?]

(2)そもそも「情報成果物」とは何?

取適法における「情報成果物作成委託」とは、簡単に言うと「データや図面、ソフトなどの作成を外注すること」です。 情報成果物は大きく以下の3つに分類されます。

①プログラム: 制御プログラム、支払い会計ソフト、発注システム等
②映像、音声、音響: 映画、テレビ番組、ラジオ番組、アニメーション等
③文字、図形、記号、色彩等の結合物: 図面、デザイン、雑誌広告等

建設業や製造業においては、③の「図面」の作成委託が最も頻繁に発生します。

(3)要注意!委託内容で異なる「資本金・従業員数」の区分


情報成果物作成委託も、前回の「役務提供委託」と同様に、委託する内容(プログラムか、それ以外か)によって「対象となる事業者の規模」の基準が2種類に分かれています。

① 「プログラム作成、情報処理」を委託する場合
(※この区分は製造委託、修理委託と同じ基準です)

② 「プログラム作成、情報処理以外(図面など)」を委託する場合

(4)【具体例で解説】建設・加工業でよくある「2つの類型」


情報成果物作成委託には3つの類型がありますが、建設業や加工業の実務で発生するのは、主に以下の「類型2」と「類型3」です。
※全ての具体例について、上記の(3)の②の資本金と従業員の基準にて説明致します

【類型2】情報成果物の作成を顧客から請け負い、それを他社へ「外注」するケース
•(具体例) 設計業者が、発注者から請け負った設計業務(図面の作成)の一部を、他の設計事業者に委託する。

【類型3】自社で使用する情報成果物を、他社へ「作成依頼」するケース
•(具体例1) 建設業者が、自社が施工する建設工事で使う「施工図」の作成業務を、他の事業者に委託する。
•(具体例2) 設計製作業者が、自社で製作する装置の「設計図」の作成を、他の事業者に委託する。
•(具体例3) 切削加工業者が、自社の加工作業に必要な「製作図面」を、他の事業者に委託する。

(※【類型1】は、ソフトウェア会社が自社販売用のソフト作成を外注する場合など、情報成果物そのものを販売している業者が対象となります)

(5)【まとめ】実務で発生する「複合パターン」に注意!

これまで解説してきたように、対象の取引内容によって、取適法の基準となる資本金と従業員数が異なります。これが実務において取適法を難しくしている最大の要因です。
実際の現場では、これらが「複合して発生する」ため、極めて注意が必要です。

🚨【よくある実務の落とし穴:安全柵のケース】 建設業者様が、発注者から「安全柵」の設置を頼まれたとします。
1.製作図面を書いている余裕がないため、設計業者に図面作成を委託した。
⇒ これは【情報成果物作成委託(類型3)】が適用されます。
2.その後、完成した製作図面をもとに、加工業者に安全柵の製作を委託した。
⇒ これは【製造委託(類型1)】が適用されます。

このように、「図面作成(情報成果物)」と「製作(製造委託)」では、適用される類型も、確認すべき資本金基準も変わってくるのです。
日常的な業務フローの中に、知らず知らずのうちに異なる類型の委託が入り込んでいる可能性があります。多くの事業者様が自社の発注体制やコンプライアンスについてご不安をお持ちだと思います。

こうした複雑なルールを前にして、無自覚な法令違反を防ぐために不可欠なのが、受注側との「十分な協議」です。
図面作成から製作まで、どの範囲をどのような条件でお願いするのか、相手の立場に立った「思いやりの気持ち」を持って対話することが求められます。
単なる外注先としてではなく、「中小受託事業者(協力会社)を育て、共に成長していく」というパートナーとしての姿勢で業務フローを見直すことが、結果として最も確実なコンプライアンス対策となります。

本日10月1日、無事に事務所の開業を迎えました。
建設・製造業界での長年の購買・コンプライアンス実務経験を活かし、皆様が安心して本業に専念し、協力会社と良好な関係を築けるよう全力で伴走支援いたします。

・「自社の図面外注が、どの類型や資本金基準に当てはまるのか分からない」
・「複合パターンが発生する業務フローを、適法な形に整理・改善したい」
・「協力会社とトラブルにならないよう、思いやりのある発注体制を構築したい」

このようなご不安がある企業様は、どうぞお気軽にご相談ください。

お問い合わせ自体はもちろん、その後の『初回のご相談』も【無料】で承っております。
まずは以下のホームページより、些細なことでもお気軽にお問い合わせください。
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[行政書士藤原素雄事務所のホームページ]

この記事を書いた人 Wrote this article

藤原 素雄

藤原 素雄

建設業・サービス業界にて20年以上、現場監督や設備購買、コンプライアンス推進の実務を経験。購買部員として数千件に及ぶ発注実務をこなし、下請取引と法令遵守の専門家です。 ISO(9001/14001/IATF16949等)推進員や内部監査員の知見も有しており、取適法(旧下請法)や建設業法に準拠した契約書・発注書面の作成から、社内規定の構築までサポートします。建築物石綿含有建材調査者や特管産廃管理責任者など現場資格も多数保有。長年の実務経験を活かし、発注側・受注側双方が安心して取引できる環境づくりと、より良い社会の実現に貢献いたします。