排出事業者責任とは?産業廃棄物を出した後の責任範囲を建設・加工業者向けに解説

排出事業者責任とは?産業廃棄物を出した後の責任範囲を建設・加工業者向けに解説

【要点まとめ】

■産業廃棄物は業者に引き渡して終わりではなく、最終処分が完了するまで見届ける「排出事業者責任」があります。
■マニフェスト(管理票)の交付日から、中間処分等は90日以内(特管は60日以内)、最終処分は180日以内に完了を確認する義務があります。
■期限切れのリスクを防ぐため、処理完了の自動通知が届く電子マニフェスト(JWNET)の活用がおすすめです。
■委託業者が不法投棄をした場合、排出事業者にも撤去費用の負担(措置命令)が及ぶリスクがあるため、契約時の現地確認は身を守る強力な防衛策となります。

こんにちは。10/1に神奈川県で行政書士の事務所の開設を予定しています藤原素雄と申します。
今回は、事業活動によって出たゴミ(産業廃棄物)を業者に引き渡した後、「排出事業者の責任はどこまで続くのか?」について解説いたします。

(1)産業廃棄物は「業者に渡して終わり」ではない

産業廃棄物は「収集運搬業者に引き渡してお金を払ったら終わり」ではありません。法律(廃棄物処理法)では、収集運搬から中間処分、そして最終的な処分が終わるまでを見届ける責任があると決められています。
具体的には、ゴミの発生から始まり、収集運搬、中間処分(破砕や焼却による減量)、そして最終処分業者への運搬と最終処分(埋立など)までの一連の流れがルール通りに行われているかを確認しなければなりません。
なお、中間処分の段階でリサイクルされて別の原料になったり、焼却されて跡形もなくなったりして「ゴミとしての性質が完全になくなった時点」を、法律上の「最終処分が完了した」とみなすケースもよくあります。

(2)各工程が完了した「年月日」を確認する義務と期限

産廃業者がきちんと処理をしてくれたかは、「マニフェスト(産業廃棄物管理票)」という伝票が手元に返ってくることで確認します。これには「ゴミを引き渡してマニフェストを交付した日」をスタート地点として、以下のような確認期限が定められています。

■収集運搬・中間処分が終わったことの確認: マニフェスト交付日から90日以内(※特別管理産業廃棄物の場合は60日以内)

■最終処分が終わったことの確認: マニフェスト交付日から180日以内

もし期限を過ぎても伝票が戻ってこない場合は、都道府県などに「状況を調べて報告書を提出する義務」が発生してしまいます。

(3)期限管理をラクにする「電子マニフェスト」

紙の伝票(紙マニフェスト)で上記の期限を人の手で管理するのは、抜け漏れが起きやすく大変です。
そこで現在主流になっているのが、パソコンやスマホで管理する「電子マニフェスト(JWNET)」です。産廃業者が処理を終えてシステムに入力すると自動で通知が来るため、いつ各工程が終わったかの確認が非常に簡単になり、期限切れのリスクを大きく減らすことができます。

(4) 身を守る防衛策:契約時の「現地確認」は必須!

新しく産廃業者と契約を結ぶ際、法律や一部の自治体のルールでは、現場を見に行くことは「努力義務(できれば行ってください)」や「任意」とされている地域も多くあります。
しかし実務上は、「絶対に産廃委託契約時に現地を見に行くべき」です。万が一、委託した産廃業者が不法投棄などの違法行為をした場合、ゴミを出した側にも「撤去費用を負担しなさい」といった厳しい命令(措置命令)が下るリスクがあるためです。

現場に足を運び、整理整頓されているか、許可証の掲示はあるか、不審な山積みはないかなどを自分の目で確かめることが、自社を守る最強の防衛策になります。遠方の最終処分場にどうしても行けない場合は、中間処理業者から現地の写真や監査報告書を必ず見せてもらいましょう。

この記事を書いた人 Wrote this article

藤原 素雄

藤原 素雄

建設業・サービス業界にて20年以上、現場監督や設備購買、コンプライアンス推進の実務を経験。購買部員として数千件に及ぶ発注実務をこなし、下請取引と法令遵守の専門家です。 ISO(9001/14001/IATF16949等)推進員や内部監査員の知見も有しており、取適法(旧下請法)や建設業法に準拠した契約書・発注書面の作成から、社内規定の構築までサポートします。建築物石綿含有建材調査者や特管産廃管理責任者など現場資格も多数保有。長年の実務経験を活かし、発注側・受注側双方が安心して取引できる環境づくりと、より良い社会の実現に貢献いたします。