【取適法(旧下請法)】「えっ、返品できないの?」受入検査の落とし穴と取引契約書の重要性を行政書士が解説

【取適法(旧下請法)】「えっ、返品できないの?」受入検査の落とし穴と取引契約書の重要性を行政書士が解説

【要点まとめ】

■返品の原則禁止: 下請け側(受注側)に責任がないにもかかわらず、発注側の都合で納品物を返品することは取適法で固く禁じられています。
■「隠れた瑕疵」の返品期間: 納品後すぐに分からない不適合(欠陥)があった場合、「受入検査をどのように行ったか」によって返品できる期間が全く異なります。
■検査省略は命取り: 受入検査を省略した場合、後から不良品が見つかっても一切返品できなくなります。
■取引契約書の重要性: 「誰が、いつ、どう検査するのか」を書面で契約しておかないと、いざという時に自社を守れず法律違反に問われるリスクがあります。

(1)原則「返品禁止」!後から発覚した不良品はどうなる?

こんにちは。特定建設業者の購買部にて6年間で約1万件の発注実績(取適法対象取引など)を持つ行政書士の藤原素雄です。
今回は、取適法(中小受託取引適正化法/旧下請法)の11の禁止事項の中から、つい無意識に行ってしまいがちな「返品の禁止(第5条1項4号)」について解説いたします。
取適法では、中小受託事業者(受注側)に責任がないにも関わらず、発注側が受領したものを返品することは禁止されています。
しかし、製造や修理の現場では、「受領した時点では欠陥(瑕疵)が分からず、実際にラインに組み込んだり、装置を稼働させたりして初めて不良品だと気づく」というケースが多々あります。 実はこのような場合、「受入検査をどのように実施したか」によって、返品できる期間や条件が法律で厳密に分けられているのです。

(2) 【要注意】受入検査の方法で「返品ルール」がここまで変わる!

以下は中小受託取引適正化法テキストの抜粋です。

法律を知らないと、「不良品なんだから、いつでも返品して当然だろう」と考えがちですが、それは大きな間違いであり法抵触(違法行為)になりかねません。検査方法別のルールを見てみましょう。
全体のフローは以下となります。(中小受託取引適正化法テキストの抜粋です)

① 全数検査を自社でしっかり行った場合
受入検査時に直ちに発見できない不適合(隠れた瑕疵)があった場合、受領後「6ヵ月以内」であれば返品が可能です(※一般消費者向けの保証がある場合は最長1年まで)。

② 抜取(サンプル)検査しか行わなかった場合
ここが一つ目の落とし穴です。ロット単位の抜取検査を行い、「ロット全体として合格」とした場合、直接検査をしていない個体については後から返品することができません。

③ 中小受託事業者(下請け業者)に検査を委託した場合
自社で検査せず、受注側(下請け)に検査を任せるケースです。この場合も「6ヵ月以内」なら返品可能ですが、「事前に書面にて検査委任の契約を交わしていること」が絶対条件となります。書面での契約を怠っていた場合、後から不良が見つかっても返品不可となります。

④ そもそも受入検査を省略した場合
これが一番大変なケースです。多忙などを理由に受入検査を省略(または口頭のみで中小受託事業者に検査を依頼した場合)した場合、いかなる受領対象物も一切返品不可となります。後から重大な欠陥が見つかっても、泣き寝入りするしかありません。

(3) トラブルと法違反を防ぐ「取引契約書」の極意

このように、取適法において「受入検査」は企業の命運を分ける非常に重要な要素です。
「とりあえず納品してもらって、問題があったら後で返品すればいい」という安易な取引は、自社が損害を被るだけでなく、不当な返品として取適法違反の重いペナルティを受けるリスクと隣り合わせです。
これらを防ぐための防具が「取引契約書」です。 発注側と受注側の間で取引を行う場合、必ず以下の項目を取引契約書等で明確に締結する必要があります。
•どちらが検査を行うのか
•受領後、何日以内に検査を行うのか
•検査にかかる費用の負担はどうするのか

私は建設業の企業で、長年にわたり購買業務や社内外のコンプライアンス推進に携わってまいりました。現場の実情を熟知しているからこそ、「ルールを知らなかった」ために起きるトラブルを数多く見てきました。

本日10月1日に無事開業を迎えました当事務所では、実務に即した「思いやりのある取引契約書の作成」や、受入検査ルールの構築など、取引トラブルを未然に防ぐための伴走支援を全力で行ってまいります。

・「うちの契約書は、取適法の受入検査ルールを正しく満たしているか?」
・「下請け業者とトラブルにならない、適正な検収フローを構築したい」
・「自社の実務に合った、無理のない契約書や発注書の作り方をアドバイスしてほしい」

このような、自社の発注・検収フローに少しでもご不安がある企業様は、どうぞお気軽にご相談ください。
当面、問い合わせ及び初回のご相談は【無料】で承っております。
まずは以下のホームページの「問い合わせフォーム」より、些細なことでもお問い合わせをお待ちしております。

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[行政書士藤原素雄事務所のホームページ]

この記事を書いた人 Wrote this article

藤原 素雄

藤原 素雄

建設業・サービス業界にて20年以上、現場監督や設備購買、コンプライアンス推進の実務を経験。購買部員として数千件に及ぶ発注実務をこなし、下請取引と法令遵守の専門家です。 ISO(9001/14001/IATF16949等)推進員や内部監査員の知見も有しており、取適法(旧下請法)や建設業法に準拠した契約書・発注書面の作成から、社内規定の構築までサポートします。建築物石綿含有建材調査者や特管産廃管理責任者など現場資格も多数保有。長年の実務経験を活かし、発注側・受注側双方が安心して取引できる環境づくりと、より良い社会の実現に貢献いたします。