
【要点まとめ】
■廃棄物の定義: ゴミ(廃棄物)かどうかは「不要になったから」という自己判断だけでなく、性状や取引価値などを「総合的に勘案」して客観的に判断されます。
■産業廃棄物と一般廃棄物: 事業活動で生じた廃棄物のうち、法令で定められた20種類に該当するものを「産業廃棄物」、それ以外を「一般廃棄物」と明確に区別します。
■特別管理廃棄物: 爆発性や毒性など、健康や環境に被害を生ずるおそれがある危険な廃棄物は「特別管理」としてさらに厳格な取り扱いが求められます。
■排出事業者の重い責任: 廃棄物を発生させた企業は、自己責任において適正処理(保管基準の遵守、委託契約、マニフェスト管理など)を行う義務があります。
(1) コンプライアンス専任者だからわかる「現場の難しさ」と廃掃法
こんにちは。神奈川県の行政書士 藤原素雄です。
私は以前、静岡県内の事業所で勤務していた際、「特別管理産業廃棄物管理責任者」および「産業廃棄物管理責任者(静岡県条例)」の選任者として実務にあたっておりました。
当時は工事部隊から外れ、コンプライアンスの推進のみを専任で行っていたため、廃棄物処理法(正式名称「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」、通称「廃掃法」)のルールを深く理解し、高い水準で法令遵守ができていたと思います。
しかし、日々の現場を抱える各社様が、これらを完璧に遵守し続けることは非常に難しく感じております。そこで今後、建設・加工業の皆様が廃棄物処理法で対応を怠る可能性の高い「落とし穴」について発信していきたいと思います。
今回は第一弾として、最も基本となる「廃棄物の定義等」をお伝えします。
(2) そもそも「廃棄物(ゴミ)」とは法律上どう定義されている?
日常的に使う「ゴミ」という言葉ですが、廃棄物処理法では以下のように厳格に定義されています。
【廃棄物処理法における定義】
ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であって、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによって汚染された物を除く。)
さらに、環境省による解釈の定義として、以下の重要なポイントがあります。
【環境省による定義(要約)】
「占有者が自ら利用し、又は他人に有償で売却することができないために不要になった物」をいい、廃棄物に該当するか否かは「その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意志等を総合的に勘案して判断すべきものであること」
つまり、「自社にとってはゴミではない」と主張しても、客観的な状況や取引価値などを総合的に見られて、行政から「廃棄物である」と判断されるケースがあるため注意が必要です。
(3)「産業廃棄物」と「一般廃棄物」の明確な違い
廃棄物は、大きく以下の2つに分類されます。
産業廃棄物とは:
「事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、表1の20種類に該当するもの(※業種指定があるものについては指定された業種に該当する場合)」を指します。
例えば、建設業者様が工事現場で発生させた廃材は、その種類ごとに「金属くず」「廃プラスチック」「ガラス陶磁器くず」などに分類されます。
「表1の20種類は以下のリンクをご覧ください」
[リンク:産業廃棄物20種類の一覧と分類!建設・加工業者向けに基本を分かりやすく解説]
一般廃棄物とは:
上記の「産業廃棄物以外の廃棄物」のことです。事業所から出るお茶殻や紙くず(特定の業種を除く)などが該当します。
(4)さらに厳格な対応が求められる「特別管理廃棄物」とは
産業廃棄物・一般廃棄物の中でも、爆発性、毒性、感染性など、人の健康や生活環境に被害を生ずるおそれがある危険なものは、特別な取扱いをする必要があります。
これらはそれぞれ、「特別管理産業廃棄物」、「特別管理一般廃棄物」として定められており、専用の管理責任者の設置や厳重な処理基準が適用されます。
(5)各企業にのしかかる「自己責任」と多数の実務課題
各企業様でこれらの廃棄物を発生させた場合は、「自己の責任において適正に処理しなければならない」という大原則があります。
この「適正処理」と認められるためには、以下のようなたくさんの実施事項をクリアしなければなりません。
●産業廃棄物の保管基準の遵守
●収集運搬業者や処分業者との委託契約の締結
●排出した産業廃棄物のマニフェスト管理
●自ら産業廃棄物を運搬する場合の対応
コンプライアンス管理にリソースを割くのが難しい事業者様は、法令違反のリスクを抱え込む前に、専門家へのご相談をおすすめいたします。産業廃棄物の取扱いについて、少しでも不安をお持ちの方は、お気軽に以下のリンクから問い合わせをしてください。
⇓
[リンク:行政書士藤原素雄事務所]
この記事を書いた人 Wrote this article
藤原 素雄
建設業・サービス業界にて20年以上、現場監督や設備購買、コンプライアンス推進の実務を経験。購買部員として数千件に及ぶ発注実務をこなし、下請取引と法令遵守の専門家です。 ISO(9001/14001/IATF16949等)推進員や内部監査員の知見も有しており、取適法(旧下請法)や建設業法に準拠した契約書・発注書面の作成から、社内規定の構築までサポートします。建築物石綿含有建材調査者や特管産廃管理責任者など現場資格も多数保有。長年の実務経験を活かし、発注側・受注側双方が安心して取引できる環境づくりと、より良い社会の実現に貢献いたします。