
【要点まとめ】
■「見える化」の背景: これまで曖昧にされがちだった足場代や保護具代などの安全衛生経費について、下請業者の自己負担(泣き寝入り)を防ぐための対策です。
■見積依頼時の必須対応: 元請業者は見積依頼時に「安全衛生経費の一覧表」を作成し、対策実施者と費用負担者を明確にする必要があります。
■指導の厳格化: 2014年頃から提唱されていた本対策ですが、近年は国交省の通達等により、当時よりはるかに指導が強化されています。
■実務で使えるツール: 国交省が公開している「安全衛生対策項目の確認表」をアレンジして活用することで、書面での明確化がスムーズに行えます。
こんにちは。10/1に神奈川県で行政書士事務所の開業を予定しています藤原素雄です。
私はこれまで建設業界で20年以上にわたり、現場の施工管理や設備調達など、発注・受注の業務を行ってまいりました。
本日は、国交省から発信されている通達(書面契約、適正な請負代金と工期)の内容でもある「安全衛生経費の適切な支払い(見える化)」への対応方法について、実務の視点から分かりやすく解説いたします。(本件は、元請業者様と下請業者様、双方の対応が必要となります)
通達は以下のリンクより参照ください.
[リンク:建設工事の請負契約に関する法令遵守の徹底について(国不建推第24号)]
(1)なぜ今、「安全衛生経費の見える化」が強く求められているのか?
建設現場において、以下のような費用は作業者の命を守るために欠かせません。
●足場の設営費
●安全帯やヘルメットなど保護具の手配
●安全衛生教育にかかる費用
しかし、これまでは見積りの総額に丸め込まれて曖昧にされ、下請業者が費用を自己負担せざるを得ないケースが少なくありませんでした。
この実態を解消し、通達で求められている「適正な請負代金」を確保するために推進されているのが、安全衛生経費の「見える化」です。
(2) 見積依頼時に元請・下請間で絶対に確認すべき2つのポイント
元請が下請に対して見積依頼をする際、「安全衛生経費の一覧表」を作成し、以下の点を明確にすることが求められます。
①対策実施者の明記:どの安全対策を誰が行うのか
②費用負担者の明記:その経費を元請・下請のどちらが負担するのか
発注までにこの費用負担者を書面で明確にすることで、曖昧な見積りによるトラブルを防ぎ、適正な請負代金の確保が可能となります。
尚、「安全衛生経費の一覧表」(ひな形)は、国交省が公開している「安全衛生対策項目の確認表」をアレンジして活用すれば良いと思います。 [リンク:安全衛生対策項目の確認表]
(3)2014年の「労働災害防止対策」から現在の厳格化へ
実はこの対策、私が2014年頃、受講した建設業法の外部講習において「労働災害防止対策」という名称ですでに説明されていました。
当時は業界全体への周知が十分とは言えない状況でしたが、近年になって「安全衛生経費」として、その取り扱いや指導は当時よりはるかに強化されています。
(4)現場の安全と企業を守る第一歩として
見積りの段階から費用負担を明確にすることは、単なるコンプライアンス遵守にとどまらず、現場の安全と企業を守る第一歩となります。
開業後、建設業法に基づく適正な契約実務や、下請負人への配慮等について、各社様の支援を行いたく存じます。
この記事を書いた人 Wrote this article
藤原 素雄
建設業・サービス業界にて20年以上、現場監督や設備購買、コンプライアンス推進の実務を経験。購買部員として数千件に及ぶ発注実務をこなし、下請取引と法令遵守の専門家です。 ISO(9001/14001/IATF16949等)推進員や内部監査員の知見も有しており、取適法(旧下請法)や建設業法に準拠した契約書・発注書面の作成から、社内規定の構築までサポートします。建築物石綿含有建材調査者や特管産廃管理責任者など現場資格も多数保有。長年の実務経験を活かし、発注側・受注側双方が安心して取引できる環境づくりと、より良い社会の実現に貢献いたします。