
【要点まとめ】
■建設工事を請け負う場合、原則として建設業の許可が必要です(軽微な工事を除く)。
■許可を取得する際、この「営業所」を二県以上に設ける場合は国土交通大臣許可、一つの県のみに設ける場合は都道府県知事許可となります。
■営業所とは、常時「請負契約の見積り、入札、契約締結等」の実体的な行為を行う事務所を指します。
■現在はペーパーカンパニー排除の観点から厳格化されており、「常時見積書を作成するだけの事務所」も営業所に該当します。
(1)建設業許可と「営業所」の重要な関係
建設工事の元請、下請、孫請等、工事を請け負う者は原則として建設業の許可が必要となります。
※例外として、消費税込み500万円未満(建築一式工事の場合は1,500万円未満等)の『軽微な建設工事』のみを請け負う場合は許可不要です。
この許可を取得する際、「営業所」の扱いにより、許可区分が異なります。具体的には、営業所を二県以上に設ける場合は国土交通大臣許可、一つの県のみに設ける場合は都道府県知事許可が必要となります。
(2)どこからが「営業所」?見積書作成だけでも該当する実態基準
神奈川県の建設業許可申請の手引きによれば、営業所とは以下のように定義されています。
本店、支店など常時建設工事の請負契約を締結する事務所をいい、少なくとも次の要件を備えていることが必要です。
① 請負契約の見積り、入札、契約締結等の実体的な行為を行っていること。
ここで見落としがちなのは、「営業所」とは請負契約の締結のみでなく、請負契約の見積書の作成を常時(単発・臨時でない)行う事務所も該当するという点です。
過去には「単に付随する見積書の作成のみを行う場合は営業所に該当しない」といった説明がされるなど見解が分かれることもありましたが、現在はペーパーカンパニー排除などの実態重視の観点から、見積もりだけでも営業所とみなされる方向で厳格化されています。
(3) 基礎知識:「請負契約」と「下請契約」の法的定義
営業所の要件に深く関わる契約の定義についても、改めて整理しておきましょう。
■請負契約(民法632条)
「当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる」と定義されています。元請業者の場合は発注者との工事契約、下請業者の場合は元請業者との工事契約が該当します。
■下請契約(建設業法2条)
「建設工事を他の者から請け負つた建設業を営む者と他の建設業を営む者との間で当該建設工事の全部又は一部について締結される請負契約をいう」と定義されています。元請業者は下請業者との契約、下請業者は孫請業者との契約が該当します。
(4) まとめ:複雑な要件判定は専門家への相談が確実
「営業所」一つをとっても、建設業法や民法、県の手引きなどを総合的に確認しなければ、正確な判断が難しいのが実情です。現場作業や経営に追われるお忙しい工事業者様は、専門家にご相談いただくのが最も確実で、早く解決できる方法だと思います。 10/1の行政書士事務所開業後、各社様の遵法対応への支援をさせて頂きたく存じます。
この記事を書いた人 Wrote this article
藤原 素雄
建設業・サービス業界にて20年以上、現場監督や設備購買、コンプライアンス推進の実務を経験。購買部員として数千件に及ぶ発注実務をこなし、下請取引と法令遵守の専門家です。 ISO(9001/14001/IATF16949等)推進員や内部監査員の知見も有しており、取適法(旧下請法)や建設業法に準拠した契約書・発注書面の作成から、社内規定の構築までサポートします。建築物石綿含有建材調査者や特管産廃管理責任者など現場資格も多数保有。長年の実務経験を活かし、発注側・受注側双方が安心して取引できる環境づくりと、より良い社会の実現に貢献いたします。