建設業法の目的とは?誰のための法律か元請・下請け向けにわかりやすく解説

建設業法の目的とは?誰のための法律か元請・下請け向けにわかりやすく解説

【要点まとめ】

■建設業法第一条は、工事の適正な施工を確保し、「発注者の保護」と「公共の福祉の増進」に寄与することを目的としています。

■法律は発注者を守るだけでなく、適正な施工を確保するために「発注者自身も適正な請負契約を行う責任」を求めています。

■建設業界特有の多重構造(発注者>元請>下請…)において、発注者の支払遅延や無理な工期設定は、末端の「手抜き工事」や「工期遅れ」の引き金になります。

■最終的な目的である「社会への貢献」を達成するには、机上の法律論だけでなく、現場の資金の流れを踏まえたルールの理解が不可欠です。

(1) 建設業法のスタート「第一条(目的)」の内容

すべての基本となる「建設業法の目的」について解説いたします。建設業法のスタートである第一条には、この法律の目的が以下のように規定されています。

(目的)
第一条 この法律は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることによつて、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進し、もつて公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。

条文にある通り、建設業法は欠陥工事などを防ぎ「発注者を保護すること」を大きな目的としています。この部分については、すでにご存知の建設業者様も多いかもしれません。

(2)「発注者を保護する」だけが目的ではない?


しかし、長年実務を通じて強く感じてきたのは、「適正な施工を確保するためには、発注者自身も適正な請負契約を行わなければならない」ということです。法律は決して発注者を一方的に守るだけのものではありません。品質の高い安全な建物を完成させるためには、工事を発注する側にも果たすべき役割と責任が伴います。

(3) 多重下請け構造と連鎖する資金繰りリスク

建設工事は、「発注者 > 元請 > 下請 > 孫請 > 孫々請…」という多重構造で行われ、それぞれに支払い期日が設定されます。もし一番上の発注者が、元請業者への支払いを渋ったり遅らせたりすればどうなるでしょうか?

当然、その下に位置する下請業者、さらにその下の職人さんたちへの支払いにまで連鎖的な支障が出てしまいます。末端へ行くほど資金繰りの悪化は深刻になり、最終的に「手抜き工事」や「工期の遅れ(=適正な施工の阻害)」に繋がりかねません。

(4)まとめ:発注者の責任と現場目線のコンプライアンス

つまり、建設業法が最終的に目指す「公共の福祉の増進(社会への貢献)」を達成するためには、発注者側も早期支払いや適正な工期設定といった「責任」を果たす必要があるのです。

机上の法律論だけでなく、こうした「現場のお金の流れや体制」を踏まえてルールを理解することが、トラブルのない健全な建設事業への第一歩です。

この記事を書いた人 Wrote this article

藤原 素雄

藤原 素雄

建設業・サービス業界にて20年以上、現場監督や設備購買、コンプライアンス推進の実務を経験。購買部員として数千件に及ぶ発注実務をこなし、下請取引と法令遵守の専門家です。 ISO(9001/14001/IATF16949等)推進員や内部監査員の知見も有しており、取適法(旧下請法)や建設業法に準拠した契約書・発注書面の作成から、社内規定の構築までサポートします。建築物石綿含有建材調査者や特管産廃管理責任者など現場資格も多数保有。長年の実務経験を活かし、発注側・受注側双方が安心して取引できる環境づくりと、より良い社会の実現に貢献いたします。