【取適法(旧下請法)】「一方的な変更・やり直し」は違法!トラブルを防ぐ手続きと「思いやり」の重要性を行政書士が解説

【取適法(旧下請法)】「一方的な変更・やり直し」は違法!トラブルを防ぐ手続きと「思いやり」の重要性を行政書士が解説

【要点まとめ】

■禁止事項の基本: 受注側(中小受託事業者)に責任がないにも関わらず、発注側の都合で仕様を変更させたり、無償でやり直しをさせたりすることは禁止されています。
■該当する企業: 建設、加工、運送、設計、物品販売などを営む「資本金1000万円超」の企業は、ほぼ確実に意識すべきルールです。
■適法な手続き: やむを得ず変更・キャンセルが生じた場合は、事前の「書面通知」「追加費用の負担」「書面の2年間保管」が必須となります。
■本質的な解決策: 法律が求めているのは、双方が「十分に協議」し、発注側が中小受託事業者に対して「思いやりの気持ち」を持ち、「中小受託事業者を育てる」姿勢を持つことです。

(1)「不当な給付内容の変更・やり直しの禁止」とは?

こんにちは。いよいよ明日、神奈川県にて行政書士事務所を開業いたします、藤原素雄です。
特定建設業者の購買部員として6年間、約1万件に及ぶ発注実務を行ってきた経験から、本日は実務で非常に起こりがちな違法行為について解説いたします。

テーマは、「不当な給付内容の変更及び不当なやり直しの禁止」です。

取適法の11の禁止事項の中の一つで、建設業、加工業、レンタル業、運送業、設計製作業、物品販売業等を行っている「資本金が1000万円超」の事業者様であれば、100%考慮しなければならない極めて重要な内容です(※従業員数などの適用条件もございます)。

取適法では、以下のように規定されています。

「中小受託事業者の責めに帰すべき理由がないのに、中小受託事業者の給付の内容を変更させ、又は(中略)給付をやり直させること。」

簡単に言えば、受注側(中小受託事業者)に責任がないにも関わらず、発注側の一方的な都合で「仕様を変更させる」「キャンセルする」「納品後にやり直しをさせる」行為は違法となります。

(2)【実例】現場で起こりやすい3つの違法ケース

では、実際にどのようなケースが違反となるのでしょうか。

•❌ ①仕様変更に伴う費用の未負担
機械加工の発注後、委託事業者(発注側)が一方的に製作仕様を変更したにも関わらず、その仕様変更に伴う追加費用の負担を行わなかったケース。

•❌ ②身勝手なキャンセル
現場作業(建設工事に非該当のもの)を発注したが、委託元の取引先からキャンセルされたことを理由に、中小受託事業者への費用負担(補償)をせずに発注をキャンセルしたケース。

•❌ ③難癖をつけてのやり直し
装置の製作を発注し完成品を受領したが、受入検査の基準を恣意的に厳しく設定し、「発注仕様から逸脱している」と主張して無償でやり直しをさせたケース。

(3)やむを得ず変更が発生した場合の「正しい対応方法」

ビジネスである以上、途中で仕様変更やキャンセルが避けられない事態も発生します。その場合は、必ず以下の手続きを踏む必要があります。

1. 事前の書面通知: 「事前」に、中小受託事業者へ書面で委託内容の変更を通知する。
2. 追加費用の負担: 変更に伴う追加費用は、発注側が負担する。
3. 新たな書面の交付:中小受託事業者から追加費用の金額や変更後の納期を提示してもらい、変更内容を記載した新たな発注書面を交付する。
4. 書面の保管: これらの手続きに伴う書面は、対象取引完了後(規定事項の記載と記録後)から「2年間」保管する義務があります。

(4)【まとめ】「協議」「思いやり」そして「下請けを育てる」こと

ここまで法律のルールをご説明してきましたが、取適法が委託事業者に求めていることは、単にルールを守ることではないと思います。 それは、「中小受託事業者と十分に協議をして、その協議内容を書面で正確に記録すること」です。
発注側と受注側は、対等なビジネスパートナーです。 発注側の皆様に最も求められるのは、立場の弱い中小受託事業者に対して「思いやりの気持ち」を持つことだと私は思っています。

さらに一歩踏み込んで申し上げれば、「中小受託事業者(協力会社)を育てること」も、発注側の非常に大事な仕事の一つです。 一方的な都合の押し付けではなく、十分な協議と思いやりを持って接することで両社の関係が良好になり、協力会社の技術力や意欲も向上します。これによって委託対象も「より品質の良い物・サービス」が完成します。
下請け業者を育て、共に成長していく姿勢を持つことは、結果的に自社の製品及びサービスの品質を高め、自社の企業価値の向上に直結するのです。

日々の業務に追われる中で、ルールの把握や書面整備に不安を感じることはありませんか?
・「うちの取引は取適法の対象になるの?」
・「法律に違反しない発注書面はどう作ればいい?」
・「記録はどのような形で保存しておくべき?」

このようなお悩みがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
1万件の発注実務経験を活かし、法律論だけでなく「現場に寄り添った解決策」をご提案します。

問い合わせ及び初回のご相談は【無料】で承っております。
まずは以下のホームページの「問い合わせフォーム」より、些細なことでもお問い合わせください。
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この記事を書いた人 Wrote this article

藤原 素雄

藤原 素雄

建設業・サービス業界にて20年以上、現場監督や設備購買、コンプライアンス推進の実務を経験。購買部員として数千件に及ぶ発注実務をこなし、下請取引と法令遵守の専門家です。 ISO(9001/14001/IATF16949等)推進員や内部監査員の知見も有しており、取適法(旧下請法)や建設業法に準拠した契約書・発注書面の作成から、社内規定の構築までサポートします。建築物石綿含有建材調査者や特管産廃管理責任者など現場資格も多数保有。長年の実務経験を活かし、発注側・受注側双方が安心して取引できる環境づくりと、より良い社会の実現に貢献いたします。