【建設業必須】石綿含有産業廃棄物(レベル3)の正しい廃棄方法とは?委託契約・保管・マニフェストの注意点を行政書士が解説

【建設業必須】石綿含有産業廃棄物(レベル3)の正しい廃棄方法とは?委託契約・保管・マニフェストの注意点を行政書士が解説

【要点まとめ】

■通常とは違う廃棄手順: 石綿含有成形板等(レベル3)は「石綿含有産業廃棄物」となり、委託契約やマニフェストの記載方法が厳格に規定されています。
■事前協議の壁: 処分先が限られるため県外搬出になるケースが多く、各自治体の条例に基づく「事前協議」に注意が必要です。
■厳格な保管基準: 仮保管時は「石綿含有」である旨の掲示や、他との混合防止(仕切り)、飛散防止(梱包等)が義務付けられています。
■現場のリアルな危険性: 混入したまま破砕処理されると甚大な健康被害をもたらすため、徹底した分別と適正処理が不可欠です。

(1)石綿含有産業廃棄物とは

こんにちは。10月1日に神奈川県にて行政書士事務所の開業を予定しております、行政書士の藤原素雄です。

私はこれまで、石綿作業主任者、建築物石綿含有建材調査者、そして特別管理産業廃棄物管理責任者として、実際に現場で複数の石綿(アスベスト)廃棄作業の管理を行ってきました。今回も、現場での実務経験も踏まえ、実践的な内容を解説いたします。

解体工事等で石綿含有成形板等(レベル3)を廃棄する場合、それらは「石綿含有産業廃棄物」として扱われます。通常の産業廃棄物とは異なる厳格な手順で廃棄(排出)しなければならないため、注意が必要です。(※石綿含有産業廃棄物の対象となる建材については、以下の記事もご参照ください) [リンク:【建設業向け】石綿(アスベスト)レベル1〜3の違いとは?画像でわかる建材の見分け方]

(2)廃棄前の必須準備(委託契約と事前協議)

実際に廃棄を行う前に、以下の2つの手続きを確実に行う必要があります。

① 産廃委託契約の締結

収集運搬業者および処分業者に対して、「石綿含有産業廃棄物」を対象とした委託契約を事前に締結しておかなければなりません。
• 記載の注意点: 契約書の産業廃棄物の種類欄には、「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず(石綿含有産業廃棄物を含む)」のように、石綿が含まれることを明記する必要があります。
(法的根拠)廃棄物処理法施行規則 第8条の4の2 第6号のホ

② 処分先自治体との事前協議(※要注意ポイント)

石綿含有産業廃棄物の最終処分を行える業者は全国的にも限られており、県外への搬出となるケースが非常に多いのが実態です。 この場合、搬出先の自治体の条例に基づき、「搬入を行う前の規定された期間まで」に事前協議や手続きを行う必要があります。 現場が始まってからでは間に合わないケースがあるため、早めの確認が必須です。

(3)現場での保管方法(収集運搬するまでの仮保管基準)

現場で廃棄物を収集運搬業者に引き渡すまでの間(仮保管時)も、法律で定められた厳格な基準を守る必要があります。

① 保管場所への「掲示」

保管場所には必ず掲示板を設置し、産業廃棄物の種類欄に「石綿含有であること」を明記します。
【記載例】 「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず(石綿含有産業廃棄物を含む)」
(法的根拠) 廃棄物処理法施行規則 第8条第1項第1号

② 飛散・混合を防ぐ「保管基準」

保管する状態についても、以下の措置を講じることが義務付けられています。

•混合の防止: 石綿含有産業廃棄物がその他の物と混ざらないよう、仕切りを設けるなどの措置を行うこと。
•飛散の防止: アスベストが飛散しないよう、覆いを設ける、または二重のプラスチック袋等で密閉梱包するなどの措置を行うこと。

(法的根拠) 廃棄物処理法施行規則 第8条第1項第4号

(4)排出(廃棄)時のマニフェスト記載方法

収集運搬業者へ廃棄物を引き渡す際に発行するマニフェスト(産業廃棄物管理票)にも、特別な記載が求められます。
•記載の注意点: マニフェストの「産業廃棄物の種類」欄には、明確に「石綿含有産業廃棄物が含まれる」旨を記載して手渡さなければなりません。
(法的根拠) 廃棄物処理法施行規則 第8条の21第1項第11号

(5)現場を知る実務家・行政書士としての視点(石膏ボード処分の実情)

最後に、私が現場での実務経験を通じて強く感じている「適正処分の重要性」についてお話しさせてください。
私は2024年までの数年間、企業担当者として石膏ボード処分を行う産廃処分業者に対する実地確認(処分場の現場確認)を定期的に行ってきました。 処分場には日々大量の石膏ボードが搬入され、中間処分として「切断・破砕処理」がなされ、粉状になったものが大量に保管されていました。
この光景を見たとき、「もし、搬入された石膏ボードの中に『石綿含有成形板等』が紛れ込んでいたらどうなるか」と強い危機感を覚えました。アスベストが粉々に破砕され飛散すれば、現場で働く社員の方々や、近隣住民の皆様に深刻な健康被害をもたらすことは火を見るより明らかです。
私は排出元として、石綿の含有が「100%ないこと」を事前調査で確実に確認してから排出を行っていましたが、世の中には必ずしもそうではない状態(確認不足)のまま排出してしまう業者様もいらっしゃると思います。
※この産廃処分業者は常に石綿の含有の確認はされておりましたが、排出する側の協力も必要です。

私は行政書士として、社員の皆様や近隣の子どもたち、地域住民に被害が及ぶような危険な行為を未然に防ぎたいと強く願っています。 日々の本業に追われ、石綿の事前調査や複雑な廃棄ルール・手続きまで考える余裕がない建設業者様は大変多い実情です。そのような皆様が、少しでも不安を感じたときに「真っ先に、お気軽に相談できる存在」となれるよう、10月の事務所開業に向けて全力で準備を進めております。
現場の法令対応や産廃処理でお困りの際は、ぜひ当事務所までご相談ください。

この記事を書いた人 Wrote this article

藤原 素雄

藤原 素雄

建設業・サービス業界にて20年以上、現場監督や設備購買、コンプライアンス推進の実務を経験。購買部員として数千件に及ぶ発注実務をこなし、下請取引と法令遵守の専門家です。 ISO(9001/14001/IATF16949等)推進員や内部監査員の知見も有しており、取適法(旧下請法)や建設業法に準拠した契約書・発注書面の作成から、社内規定の構築までサポートします。建築物石綿含有建材調査者や特管産廃管理責任者など現場資格も多数保有。長年の実務経験を活かし、発注側・受注側双方が安心して取引できる環境づくりと、より良い社会の実現に貢献いたします。